曽於市のしゃらこども園は、豊かな思いやりのある心、知的好奇心や遊び心のある保育、教育、基本的生活習慣の育成等を通してまことの保育(仏教精神に根ざした保育、教育)を目指しています。

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方向転換

東井義雄先生のお話からひとつ。
 先生がまだ学校の先生をしているときのこと
 その少年が「先生、あーと口を開けると、のどの奥に、ペロッとさがった、不細工なものが見えていますが、あれ、なにをするもんですか」と先生にきいてきました。
 東井先生は「すまんけど知らんから、今日帰って調べてくる。明日まで待ってくれ」といって、その晩、お調べになったそうです。
 つまり、のどちんこについて調べられたそうです。
 その結果。皆さんは知っていますか。のどちんこの働き。
 鼻から吸った息が、肺にいく気管の道と、口から入った物が、胃袋へいく食堂の道と分かれている、その分かれ道で食物が道を間違えて気管のほうへいくと窒息して死んでしまいます。

 そうならないように、のどちんこが、びたっと気管の入り口にふたをしてくれる。そのおかげで、間違いなしに、食物が胃袋に入る。そのことを知った東井先生は、なぐりつけられたような気がしたそうです。
 頼みもしないのに、生まれたときからずーと働いていてくれたのどちんこ。
 もしかしたら、生涯、その働きを誰からもほめられもせず、気づかれもせず過ごしていくかもしれない。
 お礼も言われないのに。心臓のどきどきも同じ。おしっこが出るのも同じ。
 「どうか、生きるということを、そまつにするな、しっかり生きてくれよ」という、そんな願いが私の中にあることを気づかしてくれるのです。
 そして、仏様というのは、私たちの中に入り込んで、仏になるよう願いづめに願ってくれている、それが仏様であったと信じさせて貰ったとき、頭が上がらなくなったそうです。
 お父さんもお母さんもおじいちゃんもおばあちゃんも、どうか、生きるということをそまつにしてくれるな、と拝んでくださる仏様の願いを受けるためにあったいのちではなかったかというふうに気づかせてもらった、と東井義雄先生がお書きになっています。
 拝む仏様から、仏様から拝まれる私、への方向転換。

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