6月の題歓喜(かんぎ)・・・つよくのびます
昔、インド地方でのお話し
仏さまの教えを大事にする王様が、教えを伝えるお坊さんに供養をしようと食事の計画を立てました。
国中からたくさんのお坊さんがやってきて、王様の食事を頂きました。
その中に、一人、特にみすぼらしいお坊さんがいました。
そのお坊さんは大変立派な方で、厳しい修行のため服や袈裟がぼろぼろになっていました。
お城に入ろうとすると、門番が、「きたならしい者はお城には入れない、出て行け」といいます。
お坊さんはお城から離れた木陰に行くと、神通力で立派な服と袈裟を身にまとって、再びお城に入ろうとしました。
すると門番は、「これは立派なお坊様、どうぞお入り下さい」とお城の中に通されて食事をすることが出来ました。
すると、そのお坊さんは、ご自分が食べながら袈裟にもご飯を食べさせていました。
不思議に思った人がお坊さんに尋ねてみると、「私はこの袈裟のおかげで城に入ることが出来たから、この袈裟にも食事をおあげしているのだよ」と答えたといいます。
小学校の道徳のような話ですが、よく考えると結構重い話です。
例えば、蜘蛛に捕まったチョウチョは、かわいそう? おなかをへらした蜘蛛は悪者?
例えば、かえるを飲み込む蛇は悪者、蛇はそのように生まれてきて生きているだけなのに
自分の立っている場所は安全地帯で、そこから離れたところにいるものは危険なもの、という考え方をする人を良い人というのでしょう。
私の立っているところは、勝手に、かわいそうなものと悪いものを区別する自分本位の危険地帯、という考え方をする人を悪人といいます。
あなたをほめて下さる人は、あなたの何を見てほめて下さるのでしょうか。
望むらくは、行いの尊さによってほめられるようにしたいと思います。
願成寺釈慈明