曽於市のしゃらこども園は、豊かな思いやりのある心、知的好奇心や遊び心のある保育、教育、基本的生活習慣の育成等を通してまことの保育(仏教精神に根ざした保育、教育)を目指しています。

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象の仕事

昔インドでは、象はいろいろなお仕事に携わっていたようです。
 もっとも、現代でもインドを旅して町を外れると、象やらラクダ、牛、羊、猿、くまなどの動物が仕事をしているところを見れます。そんなインドに動物園はないだろうと思っていたのですが、ちゃんとあるんです。はたしてどんな動物がいるのやら。

 実は数年前にカルカッタの動物園に行きました。ガイドからはなんでそんなところにいくのか、と不思議がられました。

めずらしい虎がいる、ような話を聞いていたのですが、広大な動物の飼育場は、草が茂り虎の陰は全く見えませんでした。象はいっぱいいました。印象深いのは、サイです。広い飼育場を、どすどす走りまくっていました。さすが、インドです。

 さて、むかしむかし、インドの王様の元に白い象がいました。
 その象の仕事は、戦争が起これば戦車のように戦い、またある時は死刑囚を踏みつぶす、死刑執行人の役割を行うことでした。
 ある時、王様の象の家が火事で焼けてしまいました。仕方がないのでどこか良い場所を探してみると、ちょうどお寺の庭があいていたので、そこを象の仮の宿にしました。

象はその日から、朝から晩まで、わからないお経を聞き続けました。
 象はその日から、身を清め心を清めるというお香の香りをかぎ続けました。
 象はその日から、お寺にお参りに来られる、仏さまを敬う人々を見続けました。

 すると、どうでしょう。あの荒々しい戦争に出かけて戦うはずの象が、すっかり落ち着いて、もう人を踏みつぶすことのできない性格になってしまったのです。
困ったのは王様です。戦車が役に立たなくなってしまったからです。王様は「きっとお寺に象をおいたのが間違いだった」と気づいたようです。その後は、また殺伐とした環境を象にあてがって、気の荒い性格の象を作り上げたのでしょうか。
 
私たちは直接間接でも他のいのちを殺しながら生きています。しかし、それだけで終わってはいけないでしょう。動物も人間も環境が大事です。せめて、手を合わせいのちに感謝を表し、仏さまのいらっしゃる環境作りをしてはいかがでしょうか。
 花を飾り、香を焚き、仏さまを敬う姿を作る。これだけで生き物のこころは変わると思います。形なきところにこころもありません。ご家庭に仏さまの環境を作りましょう。
                                                   願成寺 釈 慈明

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