福島のこと
3月のはじめに、福島県、宮城県に行ってきました。
お寺の仲間、6名で行きました。
初日は福島県いわき市のハワイアンズというホテルに泊まりました。震災の後、復興の象徴として再開された、映画にもなったホテルです。こんなことをいうと失礼ですが、田舎の町に、忽然とハワイアンズが立っています。もう、笑っちゃうくらいハワイアンズの名称が浮きまくっています。申し訳ありません・・・・
しかし、ホテルの中に入ると状況が一変します。私は夜遅くに到着しましたが、ちょうどハワイのダンスのショーが始まっていました。とても迫力があり、外の寒さを吹っ飛ばすくらい華やかで楽しいショーでした。
温泉は何カ所かに分かれてあって、夜も朝も楽しむことができました。復興のためだという意気込みで飲み食いしようと思いましたが、残念ながら体調が悪くてそれなりにしかできなかったことが心残りでした。
翌日は、福島原発の近くまで行きました。原発の近くのファミレスでこどもの初期被爆を考える会の方と会ってお話を伺いました。何も知らないと、あんな大きな事故があったところには思えないくらい普通のファミレスでの話し合いでした。しかし、考えさせられることが多くありました。
震災から5年がたち、現場を知らない私たちは、福島は次の段階に復興が進んでいると思っています。しかし、現地に住まれる方々は違います。
あの原発の事故で、大量にばらまかれた放射性物質の後始末はまだまだ終わっていない、事故の影響をきちんと見てほしい、そのようなご意見でした。
こうした意見を言うことはとても勇気がいることです。なぜなら、世間はもう復興に動いている、今更終わったことをとやかく言っても仕方ない、という地元の風潮があります。そうした気持ちはよくわかります。
しかし、においもなく感じることもできない放射線がきれいに除染できたと考えることも無理があるように思います。
まずは、放射性物質が大量にばらまかれたという事実、そしてまだ事故が収束したわけではないという事実を忘れないことが大事で、福島に住む方々が不安を持っていることを忘れないようにしたいです。
「思うままに生きる 100才の言葉」編集 日野原重明より PHP
鈴木大拙 仏教学者
生きるということは、誰かのまねをしてなることではないとして、「小さくても芥子粒は辛いと聞くが、自分から出たものは、ちいさくても力がある。本当の意義で生き生きしておる、他人のまねのできぬところがある。誰でも彼でも皆このまねのできぬところがあってほしい」と自分を見つめることを強く求めている。(「信仰の確立」講談社学術文庫)
福島の方々のご意見は、私たちはここで生きていくんだという意思表示に思えました。
ありがとうございました。
藤本ジメイ